性能評価項目
性能評価項目
(1)出火予防性能
「出火予防性能」は、感震ブレーカー等の本来の目的である、地震による強い揺れが発生した場合、当該揺れを感知し、建物内への通電を遮断することで、電気に起因する出火を抑制する基本性能である。
当該性能は、地震による揺れを感知し電力供給を遮断する感震遮断性能と、通電が遮断される範囲(予防範囲)から構成され、それぞれ以下のように評価できる。
① 感震遮断性能
「感震遮断性能」は、電熱器具や家具の転倒等に伴う出火の危険性のある地震動を感知し、通電の遮断機構が作動する性能である。
感震性能については、後述の標準試験又は簡易試験のいずれかの試験結果に基づき評価をすることができ、前者の方が閾値近傍における感震性能が高いが、相当程度大きな揺れに対しては両者とも揺れを感知し作動する性能を有するものと考えられ、出火予防の観点からは安全側の作動となる。
遮断性能については、感震ブレーカー等に電力供給の遮断機構が内部化されている場合(コンセントタイプ、分電盤タイプ等)は設置に伴うばらつきが生じるおそれは小さいが、内部化されていない場合(簡易タイプ)には設置方法等による遮断の信頼性にばらつきが生じるおそれがあることから、当該遮断機構の違いを考慮した評価を行うことが考えられる。
② 予防範囲
「予防範囲」は、感震ブレーカー等の作動により通電が遮断される範囲である。
分電盤タイプ(総合タイプ)や簡易タイプのように、建物全体にわたり、電気機器や電源コード等からの出火を予防する効果がある製品と、コンセントタイプのように、当該製品に接続された電気機器等を対象として出火を予防する効果がある製品に大別される。前者は分電盤以降の通電を屋内配線を含めて遮断する効果があるが、コンセントタイプはコンセント以降の電気機器等への通電を遮断するタイプであることから、前者の方が予防範囲は広くなる。
また、コンセントは建物内に多数設置されていることから、建物全体にわたり出火の危険性のある電気機器が設置されているコンセントを対象に対策が講じられている場合の方が、局所的に対策が講じられている場合よりも予防範囲は広くなる。
(2)避難安全等確保機能
「避難安全等確保機能」は、感震ブレーカー等の作動による通電の遮断に伴い、建物の中にいる人々が混乱するおそれ等があることから、これらの不都合を緩和するための付加的な機能である。
当該機能は、例えば夜間に発災した場合においても建物の中にいる人々の避難に必要となる照明等の一定の通電を確保する機能(照明確保機能)と、在宅用医療機器等の地震時においても継続的な通電が必要な回線の通電を選択的に保持するための機能(通電継続回線確保機能)に分けて整理することができる。
なお、前述の「出火予防性能」は、感震ブレーカー等が具備すべき必須の性能であることに対し、「避難安全等確保機能」は、利用者のニーズに即して選択が可能な付加的な機能であるが、感震ブレーカー等が非日常的な大きな揺れが発生した際に作動する機器であることに鑑みた場合、通電の遮断に伴う様々な不都合に対する利用者の不安感を緩和することは、中・長期的な感震ブレーカー等の普及率の向上にも資するものと考えられる。
① 照明確保機能
「照明確保機能」は、感震ブレーカー等が作動した場合にあっても、建物の中にいる人々の避難や建物内の安全確認に必要な最低限の照明を確保することが可能な機能である。
コンセントタイプのように、あらかじめ照明を通電遮断の対象外とする方法と、分電盤タイプのように一定の待機時間を確保する方法が考えられる。
なお、発災時の照明の確保については、感震ブレーカー等の設置の有無に関わらず、別途、停電時に作動する足元灯の設置等により対策を講じておく方法も考えられる。
② 通電継続回線確保機能
「通電継続回線確保機能」は、在宅用医療機器等、大規模地震時においても通電の継続が必要な最低限の回線を確保、制御できる機能である。
例えば、電熱器具等が設置される可能性のあるコンセントについては即時遮断し、照明等については一定時間後に遮断、在宅用医療機器等については最低限度の通電を保持しておくといったような対応が考えられる。
コンセントタイプのように、あらかじめ在宅用医療機器等を通電遮断の対象外とする方法と総合タイプのように個別回線毎に制御を行う方法が考えられる。